平成31年度税制改正大綱【法人課税】
(1)平成31年度税制改正大綱の公表
自由民主党と公明党の両党は平成30年12月14日に平成31年度税制改正大綱を公表しました。今回は法人課税について取り上げます。今回の税制改正大綱の基本的な考え方では、少子高齢化という構造的な課題への対処に踏み出していく必要性から、企業が収益の拡大を賃金上昇・雇用拡大や設備投資拡大に積極的に取り組むことが期待されており、法人課税の改正はこの考え方に沿った内容となっています。
(2)法人課税改正項目一覧
財務省は平成31年度税制改正大綱の概要として、法人課税について以下のようにまとめています。
※今後の法案審議において、適宜修正等がされる可能性があります。
なお、上表の他にも平成31年度税制改正大綱には、役員給与における業績連動給与の損金算入要件に関する見直しや組織再編税制の要件緩和等が盛り込まれています。
(3)研究開発税制の見直し
研究開発関連税制は数年に一度の頻度で見直されていますが、平成31年度税制改正大綱においても緩和する方向で見直しが行われています。
研究開発投資の国際的な比較によると、我が国はリーマンショック後の伸び率において、先進国の中で見劣りする結果となっており、これを研究開発税制の後押しにより民間企業の研究開発投資を増加させたい狙いがあります。
オープンイノベーション型とは、研究開発税制の制度の1つで、企業が共同試験研究、委託試験研究を行った場合など、その共同試験研究、委託試験研究に要した費用等に一定の控除率を乗じた額を法人税から控除できる制度です。
(4)まとめ
本稿では平成31年度税制改正大綱における法人課税について、とりわけ研究開発税制の見直しについてとりあげました。
業績の安定した大企業では、「破壊的イノベーション」とよばれる新しい市場開拓が起こりにくいジレンマ(いわゆる「イノベーションのジレンマ」)がある一方で、ベンチャー企業では「破壊的イノベーション」が近年すさまじい勢いで生まれています。
オープンイノベーション型の研究開発税制では、大企業とベンチャー企業のコラボレーションも想定されており、そこから創造されるイノベーションによって将来の働き方改革にもつながっていくことが期待されます。
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仰星監査法人
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2019-01-09
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